高齢ドライバーの方へのメッセージ~事故を起こしてからでは遅いということに気が付くために
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事故を起こしてからでは遅いということに気が付くために
2019年4月19日の池袋で起きた高齢ドライバーによる自動車事故は社会全体に大きな衝撃をもたらしました。母子2人が犠牲になったというあまりにも悲惨な事故に対して、高齢のドライバーによる過失そして事実かどうかは定かではありませんが医師から運転をやめるよう勧められていたという報道もありました。
事故の全容が解明されるにはまだまだ時間はかかるでしょうが、せめてこういった痛ましい事故を教訓にして、もう一度「安全な運転」ということについて振り返ってみることが必要ではないでしょうか?
事故全体における高齢運転者の事故の割合
事故全体における高齢ドライバーの事故の割合は年々増えています。
上段:高齢運転者(第一当事者)交通事故発生件数
下段:事故全体に占める高齢運転者の事故割合(パーセント)
21年 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 | 26年 | 27年 | 28年 | 29年 | 30年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6,883 | 6,979 | 6,923 | 6,600 | 6,341 | 6,033 | 5,806 | 5,703 | 5,876 | 5,860 |
12.2 | 12.7 | 13.4 | 13.9 | 15.1 | 16.2 | 16.9 | 17.6 | 17.9 | 18.0 |
警視庁交通総務課統計
いかがでしょうか、平成21年と9年後の平成30年後を比べるとポイントとして約6ポイントも増加しています。
これだけ増えた中で、「私はいつか事故を起こすかもしれない」と思って運転していた人はどれくらいいるのでしょうか。
ほとんどの人は「私は大丈夫」と思っていたのではないでしょうか。
事故が起こってからでは何もかも遅い
みなさんわかっていることであり、わかっていても自分には関係ないと思いがちなのが「事故が起こってからでは何もかも遅い」という事ではないでしょうか。
そんな方にぜひやっていただきたく、まず最初にすべき事は「現状の認識」です。
年を重ねるにつれて空間認識能力・判断能力が落ちてくるのは決して避けられません。あのトレーニングの鬼で日本野球界屈指の実力者イチローでさえ、引退するシーズンでヒットが全く打てていませんでした。45歳で引退したイチローでさえそうです。70歳、80歳のスポーツマンでもない一般の高齢ドライバーだとどうなっているのでしょうか?空間認識能力・判断能力は自分が気づかないうちに驚くほど落ちているのです。
それは仕方のないことですが、その事実を受け止めて現在の自分が安全に運転できるだけの技量と判断力を持ち合わせているのかを客観的に判断することが大切です。医師への相談やよく同乗する周囲の人に自分はちゃんと安全に運転できているか一度尋ねてみてはいかがでしょうか。
そろそろ運転が難しいと判断したその時は…「自主返納」のススメ
「もう運転はやめたほうがいい」いざそう判断した時にどうしますか? このまま失効まで免許を持ち続けるというのも一つの手ですが、免許があると危険を承知で乗りたくなってしまうのが人情です。そんな危ない橋を渡らないためにご提案申し上げたいのが「免許の自主返納」です。
「自主返納」と「運転経歴証明書の取得」
都道府県ごとに申請方法や必要書類は若干違いますが、基本的には免許の更新と同様に免許センターなどで手続きをします。この時に同時に手続きしたいのが「運転経歴証明書」の申請です。
これは運転免許証と同様に公的な身分証明書として利用できるものです。更新不要で終身の利用が可能な顔写真付き身分証明書で、バス・タクシー等の乗り物やレジャー施設の割引などの特典があります。
基本的には自主返納も運転経歴証明書の取得も即日で行なえる場合が多いです。持っていて損はないので、申請を強くおすすめします。
誰も事故なんて起こしたくはない
事故は周囲のすべての人に不幸をもたらします。誰も被害者にも加害者にもなりたいはずがありません。
被害者になるのを完全に避けることは難しいですが、加害者にならないためにできることはあります。
本稿でご提案してきた「今後運転できるかどうかの現状認識」、「自主返納という決断」が答えの一つとしてお役に立てましたら幸いです。
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