自主返納

高齢者が免許証の自主返納を拒否する3つの理由

高齢者が免許証の自主返納を拒否する3つの理由

アクセルとブレーキの踏み間違いや、高速道路の逆走など、高齢者ドライバーによる事故や危険運転のニュースが後を絶ちません。

 

こうしたことから、高齢ドライバーのご家族は「免許を返納してほしい」と強く望んでいる方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、免許を返すように説得してもなかなか応じてもらえず、今日も車に乗り続けているというケースが多いのが現実です。

 

そこで今回は、高齢ドライバーが免許証を返したがらない3つの理由をご紹介いたします。

 

免許証の返納を説得する前に高齢ドライバーの3つに心境を考える

 

高齢ドライバーに持病や身体的なハンディキャップ、認知症などの症状があれば、運転するのは危険だから早く免許を自主返納してほしいとご家族は切に願っていることでしょう。

 

高齢ドライバーに免許証の自主返納を促す前に、「免許証を返すということは高齢ドライバーにとってどういうことなのか」を考えてみましょう。

 

 

1.自ら「失う」という選択をしたくない

高齢ドライバーが免許証の自主返納を拒否する理由の一つが、免許証を失うことの喪失感を受け入れられないということです。

 

人は年齢を重ねると外見や容姿が老いるのを皮切りに、おめでたい行事より、弔いの行事に参加することが多くなります。

 

友人や知人、配偶者や自身の兄弟・親の死、転居、別居など、これまで当たり前に自分の傍に居た人たちが、どうしようもない運命によって居なくなってしまうのです。

 

人の喪失だけでなく、これまでできていたことができなくなる自身の身体的能力の喪失もあります。

 

脚が悪くなって杖が無くては歩けない方や、耳が遠くなって誰かの声が聞き取りにくい等。

このような喪失を多く経験する高齢者たちは、自ら手放す選択を極力したくないのです。

 

 

2.憧れのマイカーを失ってアイデンティティを喪失したくない

今から約55年前、昭和30年代の高度経済成長の時代では、今では当たり前のカラーテレビ、クーラー、そして自家用車が三種の神器と呼ばれ、これらは豊かさの象徴で国民の憧れでした。

 

ちなみにこの時代の乗用車の価格は、トヨタのクラウンで101.5万円、日産のサニーが41万円で、当時のサラリーマンの平均月収が約4万2,000円だったことを考えると、運転免許証を取得してマイカーに乗るというのは、かなりのハードルの高さでした。

 

高齢ドライバーの中には、マイカーを持つことに憧れて、無理をしてでも運転免許証を取得してマイカーを購入したとう方も多く、免許証を自主返納するということは、自分が何者なのか(アイデンティティ)を失うように感じてしまうのです。

 

 

3.車が無ければ暮らしていないという不安を感じている

都心部では自宅から最寄りのバス停や駅まで徒歩で移動できることが多いですが、都心から離れた地方では、自宅から最寄りのバス停まで徒歩1時間もかかるケースが珍しくありません。

 

買い物や通院、通勤などを不自由なく行うために、車が無いと暮らせない地域も多く存在しているため、免許証を自主返納して「車を二度と運転できなくなる」ということに不安を感じてしまうのです。

 

 

車が無い生活が魅力的であることを伝えよう

免許証の自主返納になかなか踏み切れない高齢ドライバーは、免許証を失って「二度と車を運転できない」という現実に対して、大きな不安や喪失感を感じています。

 

免許証の自主返納がマイナスのイメージしかない高齢ドライバーに対し、周囲の人たちがプラスのイメージを伝えることで、「それなら返してみようかな」と一歩踏み出しやすくなります。

 

 

免許証を自主返納した後の魅力的な暮らし

  • 重量税や車検・自動車保険・ガソリン代など、車の維持費がかからなくなるので、生活が豊かになる
  • 電車やバスを利用したほうが、安全で快適
  • 外出先でお酒を楽しめる
  • 食材の宅配サービスが充実しているから、買い物に行かなくても良い 等

例えば、自動車の維持費についてはこちらを御覧ください。

自動車の年間維持費はどれぐらい?車種別にまとめてみた(JA共済様のページです)

このJA共済のサイトによると、税金や平均燃料代、平均駐車場代等全て含め、軽自動車で38万2,670円、コンパクトカーで44万4542円、ミニバンで50万1734円も維持費がかかっているとのこと。

高齢者世帯あたりの最低生活費平均は月に23.5万円(厚生労働省資料)との事なので、2ヶ月分程を自動車の維持費に使っていることになりますね。

これを削減できることは老後生活の安心のためにもかなりインパクトがあるのではないでしょうか。

 

ネットスーパー等についてはこちらにまとめましたのでご確認ください。

リンク予定:運転免許証自主返納優遇措置とは。車が無くても快適に暮らせる4つの方法

 

まとめ

免許証の自主返納を拒否する高齢ドライバーは、免許証を失う“喪失感”や、車を運転できなくなる“アイデンティティの喪失”に大きな不安を感じています。

このような高齢ドライバーの心理や、高齢ドライバーが若いころに車の免許証を取得した時代背景をよく理解し、気持ちに寄り添いながら免許証の自主返納を提案してみましょう。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA